いまだにロックに対する情熱は潰えることなく、メンバー全員が50代に突入して、ますますその魂に磨きがかかっている。一体何が彼らを突き動かすのか? その答えが、2017年2月に発売されたギター・ボーカル和嶋慎治氏の自伝『屈折くん』に隠されている。 いいことありますよ! 山に轟く音霊と「なまはげ」の雄叫び/和嶋慎治・神々の椅子. という驚きと共に、最後まで一気に読むことができるだろう。しかしながら、この作品を通して、読者は自らの人生を省みることになるだろう。誰にでも当てはまるような「挫折」や「葛藤」、そしてささやかな「幸せを願う心」が、つぶさに垣間見えるからだ。自伝『屈折くん』には、そのタイトルが表すように和嶋氏の屈折した人生が綴られている。たしかに、バンドマンとして活動していなければ、かなり怪しい人物と言わざるを得ない。ファンの間では有名な話であり、本書にも触れられているのだが、「UFOに連れ去られた経験」を持つ人など、そうそういないだろう。28年もの長きにわたる活動は、決して順風満帆だった訳ではない。自伝を読むと、華々しくデビューした数年と、「黄金期」と呼べるここ数年を除けば、長く暗い時間を過ごしている。人間椅子の音楽を知らないという人は、3月25日にニコニコ生放送で放送される『ライブ盤リリース記念ワンマンツアー『威風堂々』ファイナルライブ』をご覧頂きたい。日本を代表するロックバンドの魂を感じ取ることができるだろう。いまだにロックに対する情熱は潰えることなく、メンバー全員が50代に突入して、ますますその魂に磨きがかかっている。一体何が彼らを突き動かすのか? その答えが、2017年2月に発売されたギター・ボーカル和嶋慎治氏の自伝『屈折くん』に隠されている。多分それはお互いに同じで、僕が一番鈴木くんの音楽を理解していると思っています。いい意味で一番ファンなんですよ。お互いの音楽の。だから、ある程度は彼のことを意識して曲は作っていると思います」私は20代のころからバンドのことを知っているが、アルバムやライブの裏で、想像を絶する日常が繰り広げられていたことに、ただただ驚いた。きっとバンドの音楽を聞いたことがないという人でも、和嶋氏と、人間椅子の魅力に惹き込まれてしまうに違いない。特に和嶋氏に関していえば、2009年のアルバム『未来浪漫派』をリリースする直前まで、壮絶な貧乏生活を送っていたのだ。このアルバムを出す前と後で、一体何が変わったというのか? 人間椅子・和嶋慎治氏による、楽曲解説連載、題して「神々の椅子」! 読めば楽曲世界の背景がくっきりと、またはさらに複雑に体験できるだろう。今回は「なまはげ」! 聞いた話、身にしみた話。ふたつの実話怪談をどうぞ。 人間椅子・和嶋慎治氏による、楽曲解説連載、題して「神々の椅子」! 読めば楽曲世界の背景がくっきりと、またはさらに複雑に体験できるだろう。今回は… 20 ムーplus.
何事も長く継続することは、並々ならぬ努力がいる。しかも一線で活躍するとなると、努力だけでは乗り越えられない壁にぶつかることは避けられない。そう考えると、デビューから28年を経て、デビュー当時を凌ぐ勢いで支持を集めるロックバンド「人間椅子」は、かなり稀有な存在であると言えるだろう。つまるところ、誰もが携えた「屈折」がつまびらかに記された本書は痛快である。『屈折くん』を読めば、人間和嶋慎治を愛おしく感じると共に、自分の人生もまた愛おしく感じることだろう。私(佐藤)は『屈折くん』を献本いただいて読んだ。まず最初に、この作品についてお伝えしたい。本書は人間椅子を知らなくても存分に楽しむことができる。こんな人間いるのか!? 和嶋 慎治(わじま しんじ、1965年12月25日 - )は、日本のハードロック/ヘヴィメタル・バンド人間椅子のギタリスト・ヴォーカリスト、作曲家、作詞家である。