坂口安吾著「桜の森の満開の下」を読む 何十年か前に著者の人気作「堕落論」を読んだことがある。敗戦後の国民総茫然自失の時期にしょーもない忠君愛国思想を捨てよと明快に述べた評論でベストセ … この記事では『桜の森の満開の下』のあらすじ・解説・感想をまとめています。物語は、山賊の男が美しい女に出会ったことをきっかけに、世界の様々なことを認識していく話です。彼は物語の途中で狂ってしまったのではないか、というのが個人的な読み方です。 桜咲く頃に読みたい物語…と言いつつ、まとめるのに時間がかかって、もう桜は散ってしまった。短編、桜の森の満開の下 。このほどさように桜は儚い。蕾がひとつ、ふた… 読書感想文に「桜の森の満開の下」をかこうとおもいます。どうおもいますか? どう?、読書感想文うまく書けそう??俺もサラッと読んでみたけどなかなか難しい(というかエグい)本を選んだね!いいんじゃないかな! 『桜の森の満開の下』坂口安吾【読書感想文】 「桜の森の満開の下の秘密は誰にも今も分りません」 あらすじ ある山に住んでいた男は、とても美しい女に心を奪われる。男は悪事の限りを尽し、女の望むも …
昔、鈴鹿峠に満開の桜の森があって、旅人はそこを通らなければなりませんでしたが、桜が怖ろしい旅人たちは必死に走って通り抜けていました。彼は模様のある櫛や飾のある笄をいじり廻しました。それは彼が今迄は意味も値打もみとめることのできなかったものでしたが、今も尚、物と物との調和や関係、飾りという意味の批判はありません。けれども魔力が分ります。魔力は物のいのちでした。女の言うとおりにすると、不思議と女の美しさが際立つのですから、都とはすごいものだなと山賊は思います。男がいないと生きていけなくなった女は、一緒に山へ戻ることを認めます。その時期、桜は満開でした。山賊は通りすがりの人を殺して着物やなんかを奪って暮らしていましたが、彼もまた桜の下に来ると怖ろしい気がするのでした。女が男の気持ちを満たすために、束の間のしおらしさを見せただけかもしれませんが、それにしてもすごい変わり身です。そして最後の場面に繋がっていくのですが、この物語のラストの美しさは見事で、個人的に坂口安吾の最高傑作だと思います。たとえば、女の美しさが櫛や着物によって作られていく様を見ると、これまではそんなものに無関心だった山賊が、「こんなものがなア」といって嘆賞するようになります。この女の変化は何だろうと考えたときに、ある可能性が浮かんできました。死体の首の肉がただれ、髪は抜け落ち、白い骨になっても女は飽きることを知らず、新しい首を男に持ってこさせるのでした。つまり、山賊が桜の下で起きたときには、すでに彼は狂っていて、その後の出来事は全て幻覚なのではないか?というのが僕の考えです。読書ブロガーの小助です。年間300冊ほど本を読みます。でも読書は量じゃなくて、どれだけ内容を自分のものに出来るかが大事。僕はほとんどできていません。あらら。そして、桜を掻き分ける男の手も身体も消え、あとに花びらと、冷たい虚空がはりつめているばかりでした。Copyright© あらら本店 , 2020 All Rights Reserved.都に戻ると女は男に色々な人物を殺してもらい、その首で首遊びにふけりました。物語の終盤、二人が都から山へ帰るとき、彼はこんなことを思います。山賊の男が美しい女に出会ったことをきっかけに、世界の様々なことを認識していく物語です。男は初めて涙を流し、女の死体をもう一度見ると、そこに女の姿はなく、ただ桜の花びらがあるだけです。ここではそんな『桜の森の満開の下』のあらすじ・解説・感想をまとめています。鬼は男の首を絞めようとしますが、男は必死で抵抗し、鬼を殺します。そうしてふと我に返ると、女が死体となって横たわっているばかりで、鬼の姿はありません。山賊は都で住むようになりますが、しばらくすると珍しかった都も飽きてしまいました。空は昼から夜になり、夜から昼になり、無限の明暗がくりかえしつづきます。その涯に何もなくいつまでたってもただ無限の明暗があるだけ、男は無限を事実に於て納得することができません。その先の日、その先の日、その又先の日、明暗の無限のくりかえしを考えます。彼の頭は割れそうになりました。彼はついに、単調に繰り返されていく毎日が厭でたまらなくなったのです。男は始めて女を得た日のことを思いだしました。その日も彼は女を背負って峠のあちら側の山径を登ったのでした。その日も幸せで一ぱいでしたが、今日の幸せはさらに豊かなものでした。ここでの出来事は、山賊が認識した「世界」「美」「時間」という概念が織り交ぜられて起こっているのです。そう言われて彼は「違う」と思ったのですが、どこがどう違うのかは分かりません。