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無断転載禁止ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員/20-21日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。1959年生まれ。リクルートで中古車情報誌「カーセンサー」の新車&カーAV記事を担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。エスクードの価格は、265万8,960円。前述したように輸入車であり、無駄なコストを抑えるためにも、グレードを多く設定するよりエスクードのようにモノグレードにしたほうが効率はいいはずだ。またエスクードは、グローバルでは「ビターラ」という車名で販売されているが、実は欧州ではよく売れている。つまり、日本への割り当てはそれほど多くはないのが現実だが、それゆえに今回の大改良とも言える内容は、日本市場での販売強化を狙っているからなのだろう。一部改良とはいえ、エスクードの進化は見どころが多い。まずエクステリアでは、メッキグリルのスモーク化と同時にデザインを変更。リアコンビネーションランプのLED化、アルミホイールは従来通り17インチだが、ブラック塗装からガンメタリック塗装に変更。さらに切削加工が施されており、従来以上に足回りが締まって見えるのも特徴と言える。インテリアに目を向けると、本革とスエード調の表皮を用いたシートのステッチ変更なども行われているが、目に見える部分で大きく変わったのが、メーター内に新たに設定されたカラー液晶を用いたMID(マルチインフォメーションディスプレイ)やインストルメントパネルのソフトパッド化である。1988年5月に登場したエスクードは、実に30年以上の歴史を持つ。もともと、スズキの日本市場におけるSUVは、軽自動車規格の「ジムニー」と、ジムニーの全幅を拡大して1.3Lエンジンを搭載した「ジムニーワイド」しかラインアップされていなかった。もう少し細かく言えば、当時はまだSUVという言葉そのものが日本では定着しておらず、いわゆるクロカン(クロスカントリー)というモデルとして認識されていた。いっぽう、このクロカン自体も当時は大排気量のモデルがほとんどで、いわゆる小型登録車の売れ筋である1.5L〜2Lあたりの車種はほとんど存在していなかった。価格.comマガジンは、気になる製品をユーザー目線で徹底紹介するサイトです。正直、営業上の規模なども考えるとエスクードの販売台数は上位に来ることは考えにくい。しかし、コスパの高さ、走り、そしてオマケ程度だが「輸入車である」という点にこだわりが持てるのであれば、隠れた“無印良品”のようなクルマなのかもしれない。まさに通好みの1台として所有する歓びも出てくると思う。試乗車は、前述した2トーンボディカラーだったが、これはメーカーオプションでプラス7万2,000円となる。これにカーナビ&ETC、フロアマットなどのベーシックアイテムを足せばフル装備となる。と、スイフトスポーツのほうがスポーティーな特性を持ち合わせている。だが、エスクードでもATのダイレクト感や標準装備のパドルシフトを活用することでキレのいい加速感を味わうことができるし、搭載されている4WD機構である「ALLGRIP(オールグリップ)」の「4モード走行切替機能」をスポーツモードにすれば、エンジン回転数を高めにキープしてくれるので、トルクが抜けるようなことも少なく、スポーティーに走ることができる。実はこれが、結構楽しいのである。だから、というわけではないのかもしれないが、エスクードはハンガリーに拠点を持つ「マジャールスズキ社」で生産されている。同社は「SX4 S-CROSS」も生産しており、両車とも“輸入”という形で販売している。簡単に言ってしまうと、れっきとした輸入車なのである。言いたいのは、バラバラと設定されたメーカーオプションを装着していくと車両本体価格だけでそれなりに跳ね上がってしまうのに対し、エスクードの場合は初めから「ほぼ全部入り」であるということだ。特に、先進安全装備を他社のように部分的なオプションにせず、この価格にまとめたのは魅力的だ。さらにプラスαの情報だが、前席にはシートヒーターだって標準装備している。さらに、実際に試乗して一番感動したのがACC(アダプティブクルーズコントロール)の追従走行機能が、従来の約40km/h以上から0km/h以上へと拡大したことだろう。いわゆる「全車速対応」に該当するものだが、この手のACCは減速時の停止前にシステムがキャンセルになってしまい、最後は自分でブレーキを踏まなければならないモデルがまだまだある。クルマの運転は個人の責任であるから、その部分に異を唱えるつもりはないが、自動車専用道路などの渋滞時には、この自動追従機能が疲労軽減に寄与する。余談だが、こんな美味しい(新しい)市場を天下のトヨタが放っておくわけがなく、1994年にはあのトヨタ「RAV4」が発表され、大ヒットモデルとなったことは当時鮮烈に覚えている(さらに余談だが、筆者は両車ともブームに乗っかって購入したクチである)。そして、何よりもうれしいのが先進安全装備の進化だろう。従来までのミリ波レーダーによる「レーダーブレーキサポートII」から、昨今のスズキ車で積極的に採用している単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを使った「デュアルセンサーブレーキサポート」に変更された。また、同時にブラインドスポットモニターやリアクロストラフィックアラートなども採用されている。また、ボディカラーは従来ラインアップされていたターコイズカラーを廃止して、新たに「アイスグレーイッシュブルーメタリック ブラック2トーンルーフ」を追加し、6色のバリエーションから(2トーンルーフ含む)選ぶことができるようになった。その隙間をついて市場に投入されたのが、初代「エスクード」だ。ジムニーや他社のクロカンと同様、悪路走破性にすぐれたラダーフレーム構造を持ちながら、都市部などでの取り回しのしやすさなどが受けてヒットした。当初は3ドアモデルのみだったが、1990年9月にはホイールベースを240mm拡大した5ドアモデル「ノマド」を追加、アウトドアブームの追い風も手伝ってファミリー層も含めて支持された。元々インドや北米、さらに欧州でのビジネスがうまいスズキゆえ、生産効率や市場の動きを見てグローバル生産を行うのが特徴のひとつとも言える。